2012年1月27日金曜日

九州新幹線とダルビッシュの移籍

ちょっと面白い発見をしたので、それぞれについて簡単に解説。

まず初めに、2011年3月12日に全線開通となった九州新幹線。
鹿児島経済研究所の経済レポートによると、新幹線による経済効果は2009年と比べて263億円の増加。2010年の同期比は2009年を上回る365億円増です。
九州の経済効果は、一見毎年上昇傾向のように見えますが、このまま毎年増えるかと言われると難しいところです。
実は、2010年は宮崎県の家畜による口蹄疫が発症し、観光客数が大分減りました。ゆえにその分の経済ダメージも大きかったはずです。また、2011年のデータも東日本大震災の影響を考慮し、5月から12月までのデータを元にしています。どちらも統計の背景には偏りが見られますが、ここでh2009年と2011年の同期比が一番信頼できるかと思います。
この経済効果は主に県外からの観光客が増えたことに因ります。おそらく今まで博多から鹿児島まで行くのは飛行機が主な手段だったのでしょうか。2004年に熊本の新八代と鹿児島中央間はすでに開通していたので、今回は大きな縦断ルートです。
また、熊本には格安航空のスカイマークが関西と乗り入れしているのでそれもまた影響しているのかと言えます。熊本を拠点に鹿児島や博多へと新幹線で行けるのはとても魅力的です。
宮崎や大分に行くのは何とも不便ですが。

今後危惧されるのは新幹線開通により、途中の都市経済が下火になってしまうことです。
このことを‘ストロー効果’といい、入口と出口の都市のみ経済が活発になり、途中に位置する都市経済はストローのように細くなって衰えてしまうことです。
英語では‘Straw Effect’といいます。


次に、ダルビッシュ有選手の経済効果について。
関西大大学院の宮本教授の研究によると、ダルビッシュ選手のレンジャーズ移籍による経済効果はおよそ259億円に上るそうです。
これは先に述べた、九州新幹線開通による経済効果の数値とほぼ同じと言ってもいいです。
一人の選手が九州全体の経済効果と同じ数値を出すというのは、やはりスポーツの世界は違うと感じさせます。

しかし、数字は一緒でも中身が異なるので、一概にも同じ経済効果とは言い切れません。
スポーツ選手の経済効果というのは、ファングッズの売り上げよりも放映権やスポンサー、観客数増加など、目に見えにくい経済効果かと思えます。
また選手本人が主体となって経済効果を生むわけではなく、その周囲のアクターが経済効果を作り上げるので、九州新幹線みたいに地域経済に大きな影響を与えるというわけではありません。
まあ、新幹線が経済効果を持ってくるのも同じように聞こえますが、新幹線は人を輸送することで経済を生むので主体的と言えるでしょう。
また新幹線を開通させるまでの建設工事も大きな経済効果を生むのも確かです。

まとめると、九州新幹線は全線開通と言っても宮崎、大分、それに長崎は通っていないので‘全線’とは言い難いことです。
今後九州内部で地域格差が広がらないかが、懸念です。

締めに九州新幹線開通のCMを載せたいと思います。

東日本大震災で惜しくも自粛の嵐にのまれて、大々的に宣伝できないまま開通式が行われたのは残念です。

<References>
「新幹線、経済効果は263億円 県外客増える 鹿児島」 朝日新聞
http://www.asahi.com/travel/rail/news/SEB201112130031.html

「新幹線全線開業の経済効果について」 株式会社 鹿児島地域経済研究所
http://www.ker.co.jp/investigation/pdf/survey20111213.pdf

「レンジャーズ:ダル経済効果260億円 イチロー&松井超え」 毎日新聞
http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/general/news/20120120spn00m050020000c.html

「ストロー効果」 ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C

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